『ほろ酔い植物考』     アケビ       アケビ科

                                  田城 松幸
 
 全国の山野にごく普通に見られる落葉つる植物。つるは長く地上を這い、かつ他樹によ
じ登る。4月頃新芽とともに淡紫色の花をつける。
 葉は5枚の小葉からなる掌状葉で長い柄がある。小葉は長さ5cm前後で短い柄があり
長楕円形で全縁(ふちにギザギザがなく滑らか)。これに対し小葉が3枚で卵形、波状の
鋸歯(ギザギザ)があるのがミツバアケビ。
この両者の雑種で小葉が5枚、卵形で波状の鋸歯があるのがゴヨウアケビで、高知県植物誌
では県の西部地区では標本が採集されていない。だから西部には自生しないと言うのでは決
してないが。つるはかご細工として用たりまた漢方薬としても(木通という)利用するし、
リース飾りなどにも用いる。新芽は茹でて水に晒し油炒めにすると大変おいしい。
 私達は毎年4月に植物誌の調査に参加した仲間が一堂に会し、野草料理で酒を飲んでいる
が近年重要なメニューのひとつである。
 果実は10月頃熟し縦に割れる。山を歩く人、一度はこの実を見たことがあるはず。甘く
て美味しいのだが惜しむらくはタネが多い、と言うかタネばかりというか、もし種無しアケ
ビというのが出来れば果樹として人気が出ると思うのだが。
 アケビは自家受粉した花は極めて実の付きが悪いので、庭に植えて実を賞味したい人は必
ず2本以上植えなければいけない、それも同じ場所で取ってきたものは同じ株から枝分かれ
した可能性があるので別の場所から取ってきたものを。
 以前我が家では同じアケビ科のムベを庭に植えていた。ムベは冬でも葉を落とさないしま
た一株でもよく実を付ける。
 結婚した娘が保育園児だった頃、春先に庭のあちこちから得体の知れない芽がダンゴ状に
なって出てきた。双葉の時には分からないがその上にもう一段葉が出てムベであることが分
かった。娘が実を食べ、プ−と種を庭じゅうにまき散らした結果である。
 アケビの語源は @開け実 Aあけつび B欠伸などの説がある。
 @は同じ仲間のムベが熟しても実を開かないのに対し実を開くから「開け実」がなまった
という説。私の地方では稲を刈った後の株から出る二番穂になる実をマタビと言う、これな
どは明らかに"又実"がなまったものであろう。
 Aは実を開けた状態を女陰にみたてたもの。ちなみに"つび"は女陰の古称。Bは実を開
けた状態が欠伸に似るからと言うが、これはどうもこじつけくさい。
 多くの男性は開けつび説を採りたいだろうが、素直な私としては開け実説を採りたい。
  なお牧野日本植物図鑑には『和名あけびハ実ハ其果実ノ名ニシテ其種ヲ呼ブトキハ宜シク
 あけびかづらト称スベキナリ』とある。このあたりが牧野博士の真骨頂であろう。
 山渓発行の図鑑、樹に咲く花にはゴヨウアケビの花は暗紫色。果実はできない。とある。
本当だろうか。遺伝子の所為で出来ないと証明されたのであろうか。それなら問題なが果実
がなっているのを見た人は居ないと言う理由なら問題が有る。無いということを証明するの
は限りなく不可能に近いと私は思う。   
 
    幼子はあやしむごとく顔よせて  にほう木通を食わんともせず    不器男